吉祥寺ツアー:高架下








吉祥寺文化村計画「吉祥寺ツアー」
今回は三鷹駅から吉祥寺を通って西荻窪駅までの高架下をツアーしました。
吉祥寺を訪れる人や住んでいる人が日々使っているJR中央線。しかしすぐ下の高架下にはあまり目がいかないものです。
PM2:30三鷹駅に集合。総勢8名、あいにくの雨の中、南口から出発しました。

まず目につくのがちょうど三鷹駅で中央線と交差する玉川上水です。ホームの真下に玉川上水の水面が隙間から見える場所があるので、探してみてください。武蔵野市は北北東に傾いた碁盤目状に道が構成されていて、玉川上水もまた市内はこのグリッドに沿っています。一方で中央線は新宿から正確に東西をまっすぐ通っているので、いたるところで2本の線が斜に交わり整然としたグリッドに特異点が現れています。

しばらく線路と平行している道を通りぬけると、むらさき橋へと通じる道路のガードにぶつかります。近くには平沼園という有名な卓球場がある場所です。道路はガードに潜り、平行して歩行者用の通路がすこし緩い勾配で潜っています。中央線と並行の道とも相まって、いろいろな動線が立体的に交差しています。非常に平らな武蔵野市のなかでは珍しい立体的な地形です。

ガードから武蔵野税務署の間は、線路が徐々に高架へと変わって行く場所です。線路の反対側に市民農園も拡がっています。農園と線路の擁壁に挟まれたまっすぐな道からは点々とならぶ電車の架線しか見えず、シンプルな風景です。

税務署のガードをこえるといよいよ高架が始まります。駐車場と児童公園がJRの社宅まで続いています。
子供の頃に良く遊びに来ていたのですが、当時は「ちかんに注意」などの看板があったり、鉄製やFRPの遊具がたくさんあってかなりシュールな空間だったことを憶えています。いまでは安全性のために、暖かみのある(?)木製のアスレチックに変わっていて、面影を残すのはコンクリートでできた水色の山だけです。最近はホームレスのたまり場になっています。駐車場では高級車の傍らでホームレスが寝ているという光景も目にします。他にはBMXやスケボーの練習をする人の姿もあります。「きっとここで練習を積んで駅前デビューを果たすのでは」という意見もありました。

JRの社宅近くで、高架下には電車用の変電施設があり迂回をしました。井の頭通り沿いの高架下駐車場をすこし通り過ぎると、もう吉祥寺ロンロンが見えて来ます。交番側のガード下はロンロンのゴミ置き場と小さい駐輪場にはさまれていて、幅が1mくらいの細い道があり、あまり環境は良くないのですが身体に染み付くような印象深い場所があります。

ロンロンを通り抜けます。もちろんここも高架下です。先ほどまでの高架下のイメージを拭うような賑やかさです。雨の日ということもあってなおさら人が多かったのかもしれません。ロンロンの先、駅の東側はペットショップやアウトレットショップ、スーパー、ラーメン屋などが立ち並び、商業的な利用が盛んに行われています。目を奪われていると、すぐに五日市街道に出てしまいます。

ここから西荻窪へは駐車場が続いています。レンタル用の物置きもたくさん並んでいます。徐々に高架は高くなり、美しい回廊のようになります。この区間は日常の通路としてしっかり定着しているようでママチャリに乗った主婦などをよく見かけました。西荻窪の駅に近付くと、また駐輪場や商業施設が増えて来ました。やっとゴールです。

三鷹駅〜西荻窪駅間を歩いてみて気付いたのは柱や壁に描かれたグラフィティの多さです。彼等はこの寂しい場所で何を主張しようとしているのか気になりました。しかし、寂しい場所なのですが、なにもないことの妙な居心地の良さも一方で強く感じてしまいました。作ろうと思っても作れない、町にとっては大切な場所なのではないでしょうか?

吉祥寺の表通りでもある中央線は表裏一体で裏通りでもあるのです。
みなさんも中央線を一段降りて高架下を散歩をしてみませんか?
笠置秀紀(ミリメーター・http://www.mi-ri.com/
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